ただ今、政略結婚中!
思いっきり声を上げて泣きたい気分だった。


パーティー会場に戻り、出口に向かっていると私を呼ぶ声が聞こえた。


「亜希!」


隼人さんの呼び止める声に肩が震え足を止める。


「亜希!どこへ行く?まだパーティーは終わっていない」


すぐ後ろに隼人さんの気配を感じたけれど、振り向かなかった。


「……気分が悪くて……部屋に戻ります」


振り向かないまま言うと、歩き出した。


ロングドレスの裾が邪魔で早く歩けない。


一刻も早くここから立ち去りたいのに。


その時、強く腕を掴まれて振り向かされた。


驚いていると、強引に抱き上げられた。


私達の周りにいる人たちがにわかにざわめく。


「隼人さんっ!降ろして」


「顔色が悪いな。風邪がぶり返したか?熱は?」


私の顔をじっと見る隼人さんに首を大きく横に振った。




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