ただ今、政略結婚中!

事件

「……ひとりで大丈夫です。降ろしてください。エステルが……」


「エス?関係ないだろう?黙ってろ」


強い口調で言われ、シュンとなった。


降ろしてもらうのをあきらめ、私は隼人さんの肩口に顔を埋めた。



******



「降ろしてください」


部屋の前で言うと、今度はすんなり降ろされた。


降ろされると、足に力が入らなくてふらついてしまう。


そこへ隼人さんの手で支えられた。


「大丈夫か?医者を――」
「休めば大丈夫です」


隼人さんの言葉をさえぎり、急いで言った。


彼は軽く頷くと、胸ポケットからカードキーを取り出し戸口にスライドさせた。


ピッと言う機械音が聞こえ鍵が解除される。


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