ただ今、政略結婚中!
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タクシーは賑やかな通りを過ぎる。


お土産屋さん、あそこにあるのに……。


「あの、お土産屋さんは?」


止まる気配もなく、走るタクシーに亜希は心配になってきた。


「シンパイイラナイネ。モウスコシイケバ、アルヨ」


バックミラーで私を見ながら話す運転手。



******



10分後、タクシーは人通りの少ない通りに停まった。


「?」


お土産屋さんなんてないみたいだけど……。


「ココデオリテ。ソコガミヤゲ」


お土産屋さん?


どう見ても人気のなさそうなバーにしか見えない。


バーの前には薄汚い男がひとり立っていた。


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