ただ今、政略結婚中!
汚い手で口を塞がれ、片方の手で手首を掴まれ引きずられるようにして歩かされる。


男はタクシーを探しているようだった。


そして、一台のタクシーが大きなブレーキ音をさせて私達の横に停まった。


乗せられる!


絶体絶命に目をギュッと閉じると、数秒後に私は男に引っ張られるようにして地面に倒れた。


何事が起ったのかと、驚いて男を見ると、地面にうつ伏せで倒れていた。


私もお尻を強く打ってしまい、痛みに立ち上がれない。


「亜希!大丈夫か!?」


その声に驚いて顔を上げると、隼人さんだった。


「は……やと……さん……」


どうしてここに……?


私、夢を見てる?


隼人さんをポケッと見てしまう。


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