ただ今、政略結婚中!
「大丈夫かと聞いたんだ」


手を差し出されると、やっとのことでその手へと手を伸ばし温かさを感じた。


夢じゃない……。


私を立ち上がらせよう身体を屈めた隼人さんに、倒れていた男は起き上がり背後から殴りかかった。


「きゃーっ!」


隼人さんは顔を殴られて、私の手を離し足元をふらつかせた。


「くそっ」


「隼人さん!」


隼人さんは口元を拭い、すぐに体制を立て直すと襲いかかる男をかわし殴りかかる。


これからどうなってしまうのか、殴り合う隼人さんを茫然と見つめる。


ケンカをどこで覚えたのか、隼人さんは男に負けていなかったけれど心配で、不安で足がすくんで動けなかった。


そこへけたたましいサイレンが聞こえ、私達の前にパトカーが現れた。


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