ただ今、政略結婚中!
「ごめんなさい……」


謝る声は自分でも信じられないほど震えていた。


私の耳に彼が大きくため息を吐くのが聞こる。


あきれられちゃった?


「お前がタクシーに乗ってホテルを出る所を見て本当に良かったよ 後を追わなければどんな目に合っていたことか……」


やっぱり私を呼んだのは隼人さんだったんだ……。


そう思った瞬間、強く引き寄せられて頬が隼人さんの胸に当たった。


隼人さん……?


訳がわからず隼人さんを見上げると、顎をつかまれて荒々しく唇が重ねられた。


息もつけないほどの乱暴なキスに驚いた。


罰するようなキスは血の味がした。


口の中が切れているんだから当然だよね。


ごめんなさい……痛いよね?


深いキスを受けながら、ぼんやりとそんなことを思ってしまっていた。



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