ただ今、政略結婚中!
「亜希さん、何を飲みますか?」


「お水――」
「フレッシュジュースだ」


私と同時に隼人さんの声が重なった。


「隼人さん……?」


今まで何を頼もうと口を出したことがなかったのに、なんで……?


「ジョン、妻には新鮮なジュースにしてくれ」


「隼人さん、私はお水で――」


「昨晩もあまり口にしていないだろう?」


隼人さんは私にドキッとするくらいの甘い笑みを浮かべて言う。


口の横が昨日殴られたせいでうっすら赤いけれど、魅力は損なわれていない。


「う、うん……」


甘い笑みに戸惑いながら頷く。


「昨日、酔っ払いに絡まれたと聞きました。大丈夫ですか?」


注文を済ませるとジョンは聞く。


やっぱり知っていたんだ。そうだよね、隼人さんの顔を見れば誰でも聞くと思う。


私は言葉に出さずに軽く頷いた。


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