ただ今、政略結婚中!
歩いていくと、登れるピラミッドがあった。


でも勾配がきつそう……。


わ、みんな登っている……。


登りたいと思ったけれど、自分の足元を見る。


細いストラップの付いたサンダルにカシュクール風の半袖のワンピース。


「それでは登れないな」


私の考えを読みとった隼人さんが言う。


「うん、残念……上まで登ったら気持ちがいいはずなのに。隼人さん、登りたかったら行ってきて?」


「いや、遠慮しておこう」


カルロスさんによれば、転落事故も何度かあったらしい。


それを聞いても、スニーカーとジーンズだったらきっと登っていたんだろうなと思った。


******


見学を終えて待っている車に戻る道を歩いていた。


周りを見ながら歩いていたせいで、石畳の隙間に足をとられた。


「きゃっ!」


転びそうになったところを、隼人さんの腕に助けられた。







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