ただ今、政略結婚中!
「大丈夫か?」


「……ヒールが……」


足元を見てみると、ヒールがぽっきり折れている。


「これでは歩けないな」


隼人さんは腰を屈めて私の足首を軽く動かしている。


「痛むか?」


「ほんの少しだけ……でも大丈夫です」


高さがアンバランスだけれど、車まで行くくらいは平気。


カルロスさんが「帰りがけに店に寄りますか?」と隼人さんに聞いている。


「いや、その必要はない」


そう言うと、隼人さんは私を横抱きに抱き上げた。


突然の浮遊感に驚いて隼人さんの肩にしがみついてしまう。


「降ろしてください」


隼人さんに抱き上げられるのは何度目だろう。


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