ただ今、政略結婚中!
「亜希さん、お待たせしちゃったわね。主人たちの話はつまらないでしょう?」


「い、いいえ」


私はあいまいに微笑んで首を横に振った。


まだ緊張がほぐれずに、コーヒーを飲んでいると、隼人さんが腕を少し上げて時計を見る仕草をした。


出発時間は何時なんだろう。


それすら知らされていない私はへこみそうだ。


俯きかけた時、隣の隼人さんが立ち上がる。


「すみません。飛行機が19時過ぎなので、これから空港へ向かいます」


誰ともなく言う隼人さんに、まず驚いたのは義母だった。


「まあ!結婚した日にニューヨークへ戻るですって?」


お義母様も知らされていなかったんだ……。



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