ただ今、政略結婚中!
パジャマのズボンだけ身に着け、タオルで髪を拭きながら隼人さんは現れた。


タオルで髪を拭いてあげたい衝動にかられる。


「こんな所にいたのか」


背後から腕が伸びて腰を抱きしめられ、頬に唇が触れると、甘い感覚が再びよみがえる。


自分を見失わないうちに……と、隼人さんの腕の中で向き直る。


「隼人さん……お話が……」


出した声は震えていた。


「……中へ入ろう」


部屋の中に入ると、ソファに座るよう勧められる。


隼人さんは対面に座り、その長い脚を組んで私をじっと見つめている。


「話か……俺から話をさせてくれないか?」


どうやって切り出そうと考えていると、隼人さんが先に口を開いた。


言葉にできずに、頷くのが精一杯で頭を揺らす。



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