ただ今、政略結婚中!
「何も今日帰ることはないじゃないか」
お義父さんも驚いている。
「忙しいんですよ。明日の午後に抜けられない会議があるので」
有能なビジネスマンに忙しいと言われてしまえばぐうの音も出ない。
「でも、まだ新居も見ていないじゃない。ふたりで見てから行きなさいな」
敷地に建てられた家は、紫藤不動産の新進気鋭の建築家に設計させたもので、私達の結婚が決まる前に着工したもの。
それは30歳になったらお義父様が相手を見つけると言う取り決めだったから。
相手も決まらないうちに計画され、今年早々に建て始めたと聞いている。
結婚前に準備をしてくれていたおかげで、今晩から新築の家に住むことが出来るのだけど。
「亜希さん、隼人に新居を案内してきなさいな」
義母の言うとおり新居に行こうか、迷っていると隼人さんが私を見る。
視線が合って、私ははじかれたようにソファから立ち上がった。
彼は私を見てから、もう一度腕時計を見ている。
「では行きましょうか。亜希さん」
隼人さんは私の腰に腕を回して歩き始めた。
「あ、あの」
振り向きざまに困ったように言うと、義母に「ふたりで行ってらっしゃい」と言われた。
お義父さんも驚いている。
「忙しいんですよ。明日の午後に抜けられない会議があるので」
有能なビジネスマンに忙しいと言われてしまえばぐうの音も出ない。
「でも、まだ新居も見ていないじゃない。ふたりで見てから行きなさいな」
敷地に建てられた家は、紫藤不動産の新進気鋭の建築家に設計させたもので、私達の結婚が決まる前に着工したもの。
それは30歳になったらお義父様が相手を見つけると言う取り決めだったから。
相手も決まらないうちに計画され、今年早々に建て始めたと聞いている。
結婚前に準備をしてくれていたおかげで、今晩から新築の家に住むことが出来るのだけど。
「亜希さん、隼人に新居を案内してきなさいな」
義母の言うとおり新居に行こうか、迷っていると隼人さんが私を見る。
視線が合って、私ははじかれたようにソファから立ち上がった。
彼は私を見てから、もう一度腕時計を見ている。
「では行きましょうか。亜希さん」
隼人さんは私の腰に腕を回して歩き始めた。
「あ、あの」
振り向きざまに困ったように言うと、義母に「ふたりで行ってらっしゃい」と言われた。