ただ今、政略結婚中!
「数年前から温めていた取引で帰らざるを得なかったんだ。タイミングが悪くて自分自身と日取りを決めた親父に苛立った。ニューヨークへ来て一緒に生活をしていくうちに、亜希の可愛さ、明るさ、天然な所、すべてが愛おしく思えるようになっていったんだ」


いつもより饒舌な隼人さんは少し恥ずかしそうな表情で、私は自分から彼の頬に唇を寄せて抱きついた。


「もういいです……すごく苦しかったけれど、今は幸せ……」


隼人さんの告白は天にも昇るような気持ちだった。


だけど、心の片隅に悲しみが残っているのは……。


表情に出ていたみたいで、隼人さんが私の顔をじっと見て言う。


「幸せそうに見えないのは?まだ信じていないんじゃないか?」


「ち、違います、……思ったより残念だったんです、あの……赤ちゃんが出来ていなくて……」


また瞳が潤んでしまうのを止められなくて俯く。


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