ただ今、政略結婚中!
「ええ、赤裸々にハヤトのことが書かれてあるわ。4年以上、付き合ったんですもの。書くことなんて山ほどあるわ。出会いから、今までのことを包み隠さずね」


「ど、どうしてそんなことを!?」


聞く声は高く上ずっていた。


「彼を取り戻したいからに決まっているじゃない。政略結婚の為に私が捨てられた。世間は私に同情するわよね?彼は非難を浴びるでしょう。簡単に私を捨てたのだから」


「ひどいっ!なんて酷いことを!」


「酷いのは彼よ。私は使われたティッシュの様に捨てられたよ?あなたみたいななんの魅力もない女にとられて」


エステルはだんだんと声を荒げていった。


「捨てられた……?結婚する前に別れたって……」


「ええ、そうよ。私は愛する気持ちを隠してハヤトと付き合った。私の愛を少しでも見せれば彼は去ってしまうと思って、身体だけの付き合いのフリをしていたわ。でも別れるにはもったいない人よ。彼ほどの人はいない。これからも現れない。隼人を手放すわけにはいかないのよ」


執着心……それは愛してるが故に……なんだと、私の混乱する頭でもわかった。


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