ただ今、政略結婚中!
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隼人さんがバスルームから髪を拭きながら出て来た。


私はさっとお化粧を済ませ、隼人さんのブラックフォーマルを薄紙から出していた所だった。


背後から腰に腕を巻きつけた隼人さんは、私の髪を片方に流しうなじに口付けてくる。


「ありがとう」


はっきりと耳元で言われて、心がポッと温かくなった。


「奥さんらしいこと、していなかったから」


抱きしめてくる腕に意識が行ってしまう。


「昨日、奥さんらしいこと、してくれただろう?」


「えっ?え……き、昨日は……」


隼人さんの言いたいことを組みとった私の頬は急激に熱くなった。


「すぐに赤くなるんだな 煽らないでくれないか?我慢をしているんだから」


頬にちゅっと音をたててキスすると、腰に回していた手を緩めた。


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