ただ今、政略結婚中!
私はどうしたら……?


心細くて隼人さんのディナージャケットの裾を無意識に掴むと、腰に腕が回り私のこめかみに唇がそっと触れた。


「震えているね」


急いでディナージャケットを脱いで、私の肩に羽織らせてくれる。


「隼人さん、今日はありがとう」


自分から腕を伸ばして隼人さんに抱きついた。


「明日は忙しくてひとりにさせてしまうんだ。昼食も夕食も付き合えないかもしれない」


抱きしめながら告げられると、少しがっかりした自分がいた。


「……仕事だから仕方ないです」


「すまない……」


「大丈夫、もう一度、エステに行ってこようかな。気持ち良かったから」


今まで放ったらかされていたのに、気を使われるとくすぐったい。


隼人さんが気にしないように言っていた。



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