ただ今、政略結婚中!
電話のけたたましい音で、深い眠りから目を覚ました。


ベッドサイドのテーブルの上に置かれた電話が鳴っていた。


慌てて身体を起こして、受話器を取る。


「もしもしっ」


まだ覚醒していない私は日本語で出ていた。


「あら、まだ寝ていたの?余裕ね?」


この世で一番聞きたくない声が聞こえてきた。


「……」


「昨日は楽しめたかしら?」


「そんなわけないでしょう?」


いつもの私らしくなく、イライラとした声を出してしまう。



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