ただ今、政略結婚中!
「ただし、孫を作る条件はきっちり守るつもりだ」


色素の薄い珍しい緑がかった茶色の瞳が私を見つめる。


ま、孫を作る条件?


口の端を軽く上げた隼人さんが急に怖くなる。


「な、何を言っているのかわかりません」


目の前に立つ隼人さんに、大きく首を振って後ずさる。


背中に当たるものがあった。


突っ立ったままで口論をしていた私は真っ白な壁にぶつかった。


「どもるのはわかっている証拠だ」


蛇に睨まれた蛙のように動けずにいると、彼の指が私の顎にかかりグイッと上を向かされる。


「並み以上の容姿で助かった。ブスな女ではセックスする気も起こらないからな」


顎を掴んだ指を外そうと、顔を左右に動かす。


「離してください」


左右に動かすと、更にもう片方の手で後頭部を押さえられてしまう。



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