ただ今、政略結婚中!
「ニューヨークに戻ってから?」


「ええ。今日にでも仕事が終わるでしょうから」


「なぜそれを知っているんですか……?」


私達の行動や、隼人さんの仕事、何もかもエステルはお見通しなのが不可解だ。


「まだ気づかないお馬鹿さんには教えてあげないわ。さあ、行って 話は終わりよ」


まるでメイドか、小間使いのような態度が気に入らないけれど、私は黙って部屋を出た。


部屋に戻って来ると、そのまま寝室に行きベッドに力なく横たわる。


エステルと会っている間、緊張していたせいでどっと疲れが押し寄せる。


疲れる原因はまだある。


彼女に会うと、心が痛くなるせいだ。


でも……どうしてエステルは隼人さんのスケジュールを事細かく知っているんだろう。


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