ただ今、政略結婚中!
手を繋ぎぶらぶらさせながら、波打ち際まで足を進める。
海に一度も入らなかったな……。
それだけが残念。
膝下ぐらいまでなら大丈夫だよね。
「隼人さん、ここで待っててね?ちょっと膝まで浸かってきたいの」
「砂に足をとられないように、気を付けろよ」
「はーい」
機嫌よく返事をしてそっと水に足を入れる。
夜の海は初めて。
月明かりで神秘的に輝く海。
少しずつ進むと、足首まで浸かっていた水はだんだんとふくらはぎを濡らしていく。
このまま海の中に入ってしまいたい……。
幸せなまま海の泡になれたら……。