ただ今、政略結婚中!
「小さいが感度は良さそうだな」


頭の上から降ってくる声で我に返り、ハッとスーツの前をかき合せる。


胸を見られた!


羞恥心で視線を合わすことが出来ない。


「残念だろうが、今は時間がない」


彼のスーツ姿は全く乱れていないのに、ネクタイを直す仕草をする。


服装が淫らに乱れているのは私だ。


「ざ、残念なものですかっ!」


私があれを望んでいたような言葉に苛立ちカッとなる。


「まあいい。今度戻ってきたら子作りに励んでやる」


「そうはさせないわ!」


立ち上がると、彼の背の高さに圧倒される。


「ほう、抵抗できると言うんだな?俺たちは夫婦だぞ?」


シニカルに笑う彼。


< 39 / 566 >

この作品をシェア

pagetop