ただ今、政略結婚中!
「コーヒーと一緒に貰おうか。まだ仕事が残っているんだ」


「うん。後で書斎に持っていくね」


最後の夜を一緒に過ごしたいと思うけれど、一緒にいれば神経が持ちそうになかった。


仕事をしてもらっていた方がいい。


しばらくして、隼人さんは書斎に行ってしまった。


私は後片付けを終わらせ、コーヒーとピンク色のクリームが乗ったカップケーキをトレイの上に乗せて書斎のドアをノックした。


「どうぞ」


すぐに隼人さんの声がした。


中へ入ると、パソコンに向かっている隼人さんの瞳が私を見る。


机の開いているスペースに、マグカップとカップケーキのお皿を置く。


「おいで」


手招きされて、隼人さんの脚が触れるぐらいのすぐ近くに行くと、腰を引き寄せられた。





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