ただ今、政略結婚中!
「あの時、赤ん坊が出来ていなくてショックを受けたと言っただろう?赤ん坊が欲しいのか?」


「……あの時は……エ、エステルに隼人さんを取られない為に……妊娠していたらって、安易な考えだったの……」


本当に安易な考えだった。


もし妊娠したとしても、エステルの攻撃の手は止まなかっただろうから……。


「赤ん坊で結婚生活を続けようとしたのか……」


「……だから、今は当分いらないの。今のままで十分幸せだから」


潤みそうになる瞳を隠すために、隼人さんの首に腕を回し抱きつきすぐに離れる。


「荷造りしないと……」


思わず出た言葉だった。


隼人さんが眉間にしわを寄せて見る。


「向こうにも服はあるだろう?」


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