ただ今、政略結婚中!

壊れる未来

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「行ってきます」


ぎゅっと胸を鷲掴みにされるような痛みを堪えながら、私は平静を装って隼人さんに言った。


まさか、空港まで送ってくれるとは思いもよらなかった。


期待していなかったから、朝食の席で言われて嬉しかった。


昨晩は隼人さんに愛された後も眠りは訪れず、隣で眠る隼人さんの顔を見ていた。


別れる時が来るまで、ずっと見ていたい。


すっかり寝不足気味だけれど、頭の中は緊張で冴えていた。


でも早く隼人さんから離れないと、バカなことを口走ってしまうかもしれない。


「ああ。気をつけて。10日間だからな?それ以上は待てない」


念を押されて、幸せを感じると同時に後ろめたさも感じる。


「……うん。すぐに戻って来るから」


背伸びをして隼人さんの唇にキスをすると、背中に腕が回り抱き寄せられた。


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