ただ今、政略結婚中!
何度も何度も、啄むように愛しむように唇を重ねられていく。


「ん……っ」


「亜希、会いたかった」


「……私も……本当に夢じゃない……」


今まで隼人さんしか見えなかった視界が、色を帯びて見えてくる。


そうなると、恥ずかしさが先に立ち、弾かれた様に隼人さんから飛びのいた。


通行人の目が気になったからだ。


こんな所で、堂々とキスしちゃった!


耳まで赤くなる感覚に手を顔に向けてパタパタさせた。


そんな私に隼人さんは苦笑いを浮かべている。


「行こう」


隼人さんの腕が肩に伸びて、実家の前に停められた白い車に誘導される。


「隼人さん?家に入らないの?」


助手席に座らされた私は、隼人さんが運転席に座る前に聞く。


「今はそんな余裕はないんだ」


「そんな余裕……?」


なんの余裕がないの?


隼人さんは不思議そうに見ている私の方へ顔を傾けると、唇に軽くキスをしてエンジンをかけた。


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