ただ今、政略結婚中!
エレベーターの中は私達、ふたりだけ。


ずっと握られている手が熱く汗ばんでくる。


沈黙が怖かった。


いったい何を言われるの?


余裕がないって……なんだろう……?


心細くなって隼人さんを仰ぎ見た時、ちょうど彼の顔が近づいて、唇が少し乱暴に重なった。


「エステルのことはなにも心配しなくていい。たくさん話すことはあるが、今は亜希を充電させてくれないか」


充電の意味がなんなのかよりも、なにも心配しなくていい……その言葉が頭の中をぐるぐる回る。


本当に何も心配しなくていいの……?


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