ただ今、政略結婚中!
隼人さんの手に見覚えのあるベビードールが握られていたからだ。


「どうして……」


「せっかくプレゼントしたんだ。これを身に着けて、俺をその気にさせること。それが罰だ」


薄いレースばかりの布を押し付けられて、ベビードールをじっと見つめる。


純白のレースとオーガンジー素材のベビードールはフロントの紐で結ぶタイプで、ひらひらとして身に着けても心許ない代物。


こんなものを着せたがるなんて、男の人がわからないっ。


それを見ただけで恥ずかしくて顔が火照ってくる。


「そんなの無理っ!これが贈られた時だって大変だったんだからっ お義父様たちに見られてっ」


あの時は顔から火が出る思いだった。


「そのつもりで送ったんだからな」


「えっ、計画的っ?」


やっぱり計画的犯行だったんだ。


「人が悪いですっ!」


私はぷいっと頬を膨らませた。


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