ただ今、政略結婚中！

「招待状よ。来月の１０日、あけておいてね」


来月の１０日って、体育の日？


「運動会でもあるの？」


私の頓珍漢な言葉に麗香がコーヒーを吹き出しそうになる。


「っ、ほんと天然なんだから……」


はぁ……と麗香がため息を吐いているのを見ながら、私は封筒に手を伸ばし開けた。


「あ……結婚式……」


相手はもちろんイケメン有名シェフの谷村遥人さんだ。


「そうよ。ピンクの封筒で運動会の招待状が渡されるわけないでしょう？」


ツボにはまってしまったのか、お嬢様らしくない豪快な笑いがしばらく続く。


「麗香！そんなに笑わないで。ごめんね。おめでとう！喜んで出席させてもらうからね」


笑いを止めてもらうように、氷の入った水のグラスを渡す。


「ほんと、あんたって可愛いわ。もちろん、亜希を溺愛している隼人さんも一緒にね？」