ただ今、政略結婚中!
「……隼人……さん?」


「この先ずっと、お前を守り幸せにする。不安になることはないんだ。俺には亜希しか見えていないから」


隼人さんの言葉は胸を熱くさせ、じんわりと身体全体に浸透していくよう。


瞳が潤んでしまうのを抑えられない。


泣きじゃくらないようにするのが精一杯で、答えられなかった。


「……行こうか」


少し照れたような表情の隼人さんは、私の目に白いハンカチをそっとあてて言う。


「……隼人さん……誓いの……キスして……」


甘えたかった。


隼人さんは飛び切りの笑顔を浮かべて、私にキスしてくれた。


「不謹慎だが……披露宴の間は苦痛だな」


いつもよりトーンを落として言われた言葉に意味が分からずにキョトンとなる。


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