ただ今、政略結婚中!
「な、なんのことか……」


わからなくて聞く。


「早くふたりきりになりたいからに、決まっているだろう?」


「は、隼人さんっ!」


真剣な顔で見つめられて、どんどん全身が熱を帯びていく。


「早く愛したいんだが、俺たちの恩人の結婚式だ。我慢することにするよ」


どんどん、隼人さんの甘い言葉に浸食されていく。


お砂糖より甘い隼人さんに言葉を返せずにいると、握られている手の甲に隼人さんの唇がそっと触れる。


「もう一度誓うよ。お前を愛している」


いつになく真剣な瞳で私を見つめる隼人さんがいた。


私はずっとこの瞳に囚われたままだろう。


「ずっと……そばにいてね……」


そっと隼人さんの胸に顔を寄せた。


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