ただ今、政略結婚中!
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ふわふわと浮いている感覚にハッとして重い瞼を開けると、端正な顔立ちをした隼人の顔が目に入った。


「隼人……」


「ん?起きたのか、寝るならベッドで寝ろよ 風邪を引く」


隼人はまだスーツ姿だった。


コートを脱いだだけで、ベッドに連れて行くために抱き上げてくれたらしい。


「降ろして、自分で行けるから……」


「もう寝室だ」


ふんわりとベッドの上に降ろされて、ただいまのキスを受ける。


彼の身体からたばこの匂いがする。
隼人は吸わないから、忘年会の会場で移ったものだろう。


「タバコ……」


「あぁ、臭うか?同じ部屋だとどうしても移るな クリーニングに出しておいてくれないか?」


「うん」


隼人はシャワーを浴びてくると言って寝室を出て行った。


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