ただ今、政略結婚中！
「また彼のことを思い出しているの？そんなに顰めていると皺が出来ちゃうわよ？」


ほんのり頬を赤くした麗香が言う。


「う、うん……」


「でも浮気の現場、おさえたくならない？」


「えっ？」


麗香の言葉に驚いて目が点になる。


「あっちが居心地よいのなら、絶対に女がいるわよ」


コーヒーの持ち手を弄びながら浮気を示唆する。


「……そうなのかもしれない。でもそれだったらどうしてその人と結婚しなかったのかなって思うの」


とどのつまり、行きつく先は……彼は女、男、なんでもござれの両刀使いなのかもと。だから恋人を選べなくて結婚していなかった？そして今の恋人は男かも。だから結婚できなくて……。


それを言うと、麗香がゲラゲラ笑う。


お嬢様の麗香らしくない。


「まったく、亜希って知識を詰め込みすぎなんじゃない？良くそんなことを考えるわね？彼が本当にゲイだと思っているの？私にはそんな風に見えなかったわ。ゲイの人たちって独特な雰囲気があるじゃない？彼は全くそんなの感じさせなかったわ」


笑いながら一気に話した麗香は喉が渇いて少し冷めたコーヒーをゴクゴク飲んだ。



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