ただ今、政略結婚中!
「あ、あのっ!すみません、助けてください」


「ええ、僕で良かったらどうぞ?」


にっこりと癒される微笑みが返ってきた。


「この住所はここであっていますか?」


スケジュール帳に書かれた住所を彼に見せる。


「いいえ、ここは1号棟です。この住所は隣の2号棟ですね。お知り合いを尋ねに来たんですか?」


彼は私の側にあるスーツケースを見て聞く。


「えっと、はい。主人を……」


「えっ?失礼しました。まさかミセスだったなんて思いませんでした。ドアマンもミスと言っていましたしね」


彼は驚いている。


「つい最近、結婚したばかりなんです」


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