ただ今、政略結婚中!
「そうでしたか、おめでとうございます。もう一度部屋の番号を見せてもらえますか?」


私は頷き、もう一度彼に住所を見せた。


見せると更に驚いた表情になる。


「あの、どうかしましたか?」


そう聞くと、彼は気を取り直して口を開いた。


「あなたが隼人さんの奥様になった方だったんですね」


彼の口から隼人さんの名前が出て、今度は私が驚く番だ。


「ええ……彼をご存じなんですか?」


「はい。僕は紫藤不動産の法務部にいます」


法務部って、弁護士さん?


すぐそばに立つ彼は彫が深く、日本語を話すこと自体が不思議な感じを受ける人だった。


身長は高く、隼人さんと同じくらいかな?と考えてしまう。


色は白く、たぶんハーフだと見当をつける。


「ジョン・ケイフォード。日本名は隆司なんですが、ジョンと呼んでください」


「は、はい。よろしくお願いします」


彼は紳士らしくスーツケースを持ち運んでくれ、2号棟へ案内してくれる。


2号棟のドアマンが何も言わなくても、私が隼人さんに言われた者だとわかったようで、オートロックのドアを開けてくれた。



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