ただ今、政略結婚中!
隼人さんの言うとおり、お寿司は新鮮で美味しかった。


日本で食べたことがないカリフォルニア・ロールは、アボカド好きな私のお気に入りになった。


隼人さんはお腹が空いているらしく、お寿司をつまみながら冷酒を飲んでいる。


「なんだ?」


私がじっと見ていることに気づき、おちょこを置いて見る。


「あぁ……披露宴でも飲んでいたし、飲めるよな?」


冷酒が飲みたいと誤解をされているみたい。


そんなに飲みたそうな顔だった?


「た、多少は……」


それほど強くはないけれど、ワイン・カクテル・ビール・酎ハイは好きで飲む。


日本酒はほとんど飲んだことがなかった。


隼人さんは透き通った水色のおちょこに冷酒を注いだ。


せっかく頼んでくれたのに飲まないのも悪いと思い、舐めるように一口飲む。


ぁ……美味しいかも……。


喉が熱くなったけれど、ほんのり甘くて。


初めて日本酒が美味しいと思った。


再び、隼人さんと板前さんが楽しそうに話しだした。


話をしていても、私のおちょこの中身が減ると注ぐ。


そのせいで、いつしか私の頭はぼうっとなってきていた。





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