ただ今、政略結婚中!
半袖のチュニックとデニムのショーパンを身に着けて、気分を落ち着かせると寝室へ戻った。


寝室に隼人さんはいなかった。


乱れた掛布団が目に入り、急いで直す。


きちんと整ったベッドを見て満足すると、ドアノブに手をかけた。


******


リビングを見廻し、昨日見ていないダイニングキッチンの方へ足を向ける。


リビングとダイニングキッチンの仕切りはない。


緊張感が走る私の鼻にコーヒーの香ばしい香りが漂ってきた。


隼人さんは4人掛けのテーブルで、新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。


「長かったな」


ちらりと私の方を見て言う。


「……」


長かったなと言われても、気持ちを落ち着ける必要があったんだからと、心の中で反抗する。



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