ただ今、政略結婚中!
「では、ここへはどういうつもりで来たんだ?」


手にしていた新聞紙を折りたたみテーブルの隅に置く。


「……」


浮気を確かめに来ただなんて……言っちゃう?どうしよう……。


「言ってみろよ」


表情は変わらないけれど、怒っているみたい。


「……お義父様に勧められたからです」


これは間違っていない。


「あぁ。俺の所にも電話が来た。早く孫の顔が見たいとな」


彼の顔に意地悪な笑みが浮かび、私はイスから立ち上がりたくなった。


「私は子供を作りたくて来たんじゃありませんっ」


「ではなぜ来た?」


立ち上がったのは隼人さんで、私の横に立った。


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