ただ今、政略結婚中!
「ち、近づかないでくださいっ」


「ひどい言いようだな。俺と夫婦生活をする為にはるばる来たんだろう?」


「ち、違いますっ!」


腕が伸びて私の身体がふわっと浮いた。


隼人さんにいわゆる、お姫様抱っこをされたからだ。


「降ろしてください!」


腕の中でじたばたしているうちに、ソファに放り投げられる。


「きゃっ!」


起き上がろうとすると彼の身体が覆いかぶさり、顔の横に両手が置かれる。


「か、顔が近いです」


近づく整った顔を避けようとして横を向く。


「お前の反応はおもしろいな。退屈していた所なんだ。可愛がってやる」


か、可愛がってやるぅ?


心臓が今までにないほど暴れはじめる。


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