きみとぼくの、失われた時間

 
途端にフンと相手は鼻を鳴らして、お前には関係ないだろとそっぽ向かれた。

なんだ?
2011年の子供ってのはこんなにも素っ気無いのか?

コミュニティーがなってないぞ。
 

「したいならしてくりゃいいのに」

  
ボソッと呟けば、「うっさい」突っ返された。

カッチンくるけど、まあ相手は2011年の子供。年下には違いないので右から左に聞き流すことにする。俺って超大人!

「お前こそなんだよ」

イキナリ声掛けてくる意味は?
返答に困る質問を投げられ、俺は鼻の頭を掻いた。

で、ニッと笑って嫌味ったらしく言ってやる。
 

「サッカーが超したい幽霊ってとこかな」
 

「はあ?」何言ってるんだとばかりに、相手が憮然とこっちを見てくる。
 
嘘は言ってないイッテナイ。
俺はサッカーが超したいんだよ。

てか、超遊びたいんだよ。

でもって、2011年を彷徨う幽霊さんなんだよ。いや生きてるって俺は信じてるけどな!
 

アタマおかしいんじゃないかって相手は舌打ちを鳴らしてくる。

どうやらシカトを決め込んだらしい。

俺から視線を逸らして、仏頂面にグランドを見つめた。

あーあ、取っ付き難いねぇ、2011年のお子様は。

俺は肩を竦めて彼と肩を並べた。
オーラで近付くんじゃねえって訴えてくるけど、向こうがシカトしてるんだ。俺もシカトすることにする。
 

頭の後ろで腕を組み、右横から日差しを受けつつ、サッカーを見つめる俺は「いいよなぁ」と口に出して息をつく。

サッカーする相手がいるって羨ましいよ、ほんと。


この世界じゃあ俺、サッカーさえできないし。


だって2011年の世界で“俺”を知る奴がどれほどいるのか、高が知れているんだから。

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