きみとぼくの、失われた時間
<03>時間は廻っている
*
「あれ、あそこにいるのは」
翌日の昼、家事という一仕事を終えた俺は性懲りもなく公園に遊びに来ていた。
散々秋本や遠藤に説教され(あの二人の説教タッグは死にそう)、自分の立場を知らされ(でも島津に話したことは内緒)、尚且つ影のことに気付いたっつーのに白昼堂々外を出歩いている。
正しくは昼食を買うという口実で外に出ている。
だってやっぱ家の中に引き篭もってばっかりなんてツマンネェんだもん。
平日の公園だったら誰もいないし、気分転換には持ってこいだと思って訪れてみたんだけど。
まさか人が、しかも学生さんがいるなんて。
見覚えのある面に気付いて、俺は公園の敷地に足を踏み込む。
ぼんやりとベンチに座って物思いに耽っている学ラン姿の学生さんは、昨日知り合ったばっかの2011年の同級生。
「なーがと」
ポンッと肩に手を置いて声を掛ける。弾かれたように顔を上げる永戸は、俺の登場に驚愕。
だけどすぐに表情を和らげて、「坂本じゃん」何しているのだと愛想よく挨拶。
それは俺の台詞だって。
今日は月曜日だってのになんで此処にいるんだよ。
お前、学校があるんじゃないのか?
しっかりと学校に行く支度はされているのに、何もせず、こうして公園でたむろっているサボりくんにそう疑問をぶつける。
通学鞄がある様子から、家から直で此処にいるようだ。
お互い様じゃないかと一笑する永戸は、君は学校に行かなくてもいいのかと訊ねてくる。
間を置き、「あ」通えなかったんだっけ? と眉を下げた。
そんなところだと明るく肩を竦め、隣に失敬した。