きみとぼくの、失われた時間
でも次男の俺はどうなんだろう。
いつも目くじらを立てて俺を叱り飛ばしてくる両親に胸が重くなった。
まさか今更になって二人目を産んだことに後悔しているんじゃ…、一人だったら減給になってもどうにかなっただろうに。
『かもな』兄貴は素っ気無く返した。
『そっか』微苦笑する俺は漫画を持って部屋を部屋を出ることにする。
意外と今の言葉にはショックだったのかもしれない。
兄貴に否定して欲しかったのかも。
『自分達の都合で喧嘩している親なんだ。俺達“兄弟”を産んだことに悔いてるかもな』
冷たいようで優しい兄貴は鼻を鳴らして勉強に集中し始める。
漫画を片手に退室しようとしていた俺は、兄貴の言葉に思わず笑ってしまった。
嫌味を飛ばしても、皮肉を漏らしても、兄貴はやっぱり俺の兄貴。頼れる兄貴だった。