きみとぼくの、失われた時間
「お前にはまだ奢ってもらってねぇんだからな!
っ…、ちゃんと約束は守れよ。俺、墓に行くまで約束の事を覚えておくつもりだからな!」
「僕なんて二千円分、徹也に奢らされたんだからね! 君もそれくらい奢ってよ!
それから今度は三人旅だからっ、忘れないでよ!」
おう、忘れないよ。
忘れたらお前等に祟れそうだもんな。
絶対に忘れない。
お前等が俺に教えてくれたこと、仲間に入れてくれたこと、何気ない励ましに会話。サッカーをしたことも、旅も全部忘れない。
もう一度手を振って踵返す。
「健―!」
叫ぶ島津によって、俺は再び足を止めた。
首を捻ると、彼が顔を歪めて質問を飛ばしてくる。
「お前は消えないよな?! 幽霊じゃないんだろっ、人間なんだろっ、成仏なんてしないんだよな!」
間髪容れず、俺は破顔する。
「―――…島津、永戸、15年後にまた会おうな」
2011年という世界でお前等と出逢えた。これも何かの縁なんだと思う。
だから15年後、2011年の世界できっと俺達はまた出逢える。
もしも偶然が出逢わせてくれないなら、努力して自分から縁を手繰り寄せるから。
お前等とは縁があればまた会いたい、じゃなく、もう一度また会う。
断言しておく。
また会おうな、二人とも。