きみとぼくの、失われた時間


近々ニュースに出るかもしれない。

遠藤の言葉に胸が重たくなる。最悪な事態になっていなければいいのだが。


二人は弾まない会話もそこそこに商店街を通り抜け、小学生に定評の駄菓子屋を横切り、墓地の側の沼地を過ぎた。

重い足取りで、住宅街から外れた神社前の石段に辿り着く。


どちらが先に上ろうと言ったわけではないが、遠藤は邪魔にならないよう石段脇に自転車を止めた。


しっかりと鍵を掛けると待っている秋本と共に石段を上る。


本当に何気ない気持ちでそこに入ったのだ。

それ以上も以下もない。



けれど石段を上り切った二人に待っていたのは、驚きの光景。



静まり返っている物寂しい神社を見渡していた二人は、ご神木に視線を向け、目を瞠ってしまう。

 
ざわざわっとご神木が葉を擦らせて手招き。

急激に失われる口内に唾を送り、顔を見合わせ、夢現をお互い問い掛ける。


ご神木下で眠っている、いや倒れている少年。


あれは夢? 現実? この際、どちらでも良い。


とにかく今、自分達がやらなければいけないのはっ。
 
 
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