きみとぼくの、失われた時間
◇ ◇ ◇
2011年某月某日の日曜。
時刻13時半。
島津徹也は永戸天音と共に、近所の公園でアイスを頬張っている真っ最中だった。
彼等は何処にでもいる普通の中学生、齢15になる少年だったが、少しばかり不思議な体験をした人間でもある。
心霊体験をした、という表現は似つかわしくないかもしれないが、彼等は近い体験をしている。
その体験後はとびっきり不思議な事があるわけでもなく、諍いを起こしていた久野達とも和解し、平々凡々の生活を送っている。
受験戦争に巻き込まれつつはあるが、それなりに平和に過ごしていた。
「今日も夜から塾だぜ。ダリィ……、マージ数学意味不明なんだよな。サボリてぇ」
「そういってサボって親に大目玉を食らったのは誰だい?」
「じーぶんだって、数ヶ月前に学校をサボった挙句、俺を除け者にしただろうが」
しつこいよ、永戸は開き直ったように鼻を鳴らす。
不貞腐れる島津はショックだったんだから仕方がない、と頬を脹らませた。
最初こそ申し訳ない気持ちを抱いていた永戸だが、耳にタコができるまで同じことを繰り返されたら開き直りたくもなる。
ホトホト呆れている彼は、シャリシャリとシャーベット状のアイスを噛み砕いた。
ぶう垂れている島津はマーブルアイスを無理やり口に押し込み、噛み締めて空を仰ぐ。