きみとぼくの、失われた時間
<03>居場所
一通り買い物を終えた俺達はショッピングモールを後にし、帰路を走っていた。
行きもさながら、帰りもやっぱり俺の目は街並みに釘付け。
知っている建物、知らない建物、知っている風景、知らない風景、知っている街、知らない街、15年間の街並みの移り変わりを知らない俺はその空白を埋めるように景色を見つめている。
「帰りはスーパーに寄るわね」
秋本に声を掛けられた俺は生返事をして、間を置き、口を開く。
「最後でいいから、神社に寄ってもらっていい?」
沼地が近くにある神社、違った、沼地があった神社に寄って欲しいと俺は頼む。
承諾してくれた秋本は先に神社に寄ろうか、と俺の気持ちを酌んでハンドルを右に切った。
こうして神社に向かうことになった俺達。
神社に向かう途中、片側三車線を走っていた景色よりも、より目にしている景色達が目に飛び込んで俺は思わず胸を痛めてしまう。
知っている住宅街、道、風景がまるで違う。
知っている景色な筈なのに、まったく懐かしさを感じない。
殆ど初めまして状態の念で街を見つめている。
車窓から差し込む夕陽の光を浴びながら、俺は神社に着くまでその街を見つめ続けていた。
口数が自然と減ってしまったのは、俺がどっかで落ち込んでいたからかもしれない。
神社前の石段に到着すると、俺は秋本を置いて逸早く下車。