きみとぼくの、失われた時間
<02>ダブルアラサー
―――…15年前、まあ俺にとっちゃあ10日前のことになる。
人生最高潮の厄日を迎えていた俺は、小学校からの親友、遠藤学をこれ以上にないってほど激怒させた。
それは昼休みのことになる。
遠藤や同級生と一緒にグランドでサッカーをすることがお決まりだった俺は、いつものように誘われるがままグランドに向かって隣クラスの奴等とサッカーをした。
しかもこの時、ただ勝負するじゃあつまらないから、公園のグランドを賭けた。
勝てば一週間、主導権を頂戴できるという簡単な賭け事。
男子ってのは単純だから、賭け事になったらいつになく燃えるわけなんだけど、俺はやや上の空。
試合中、凡ミスばかり繰り返した。
パスを受け止められなかったり、変なところにパスして敵チームに攻撃権を明け渡したり、極め付けにオウンゴールしちまうという痛恨の失態を犯した。
ちなみになんで上の空だったか、午前中の出来事に若干落ち込んでいたのかもしれない。
家で親は喧嘩してるし、宿題は二倍出されるし、散々だと思っていたさなかの、昼休みの賭け勝負。
当然、俺がこんなにも凡ミスしたせいで敗北した。
一緒にサッカーをしていた友達は、「なんかあったのか?」と、俺の上の空っぷりに気付いて心配してくれていたんだけど、賭け勝負に燃えていた遠藤はそれどころじゃない。
激怒も激怒でお前のせいで節をつらつら。
元々スポーツが好きな遠藤だ。んでもって負けず嫌いの遠藤だから、普通の敗北ならまだしも、痛いほどの凡ミスを犯した俺を責め立てた。
当然の報いだから真摯に受け止めて、ごめんと謝罪を繰り返したんだけど、賭けに負けたことは変わりない。
煮えた気持ちを噛み締めて遠藤は最悪を連呼。
「お前はもうチームに入れねぇ」
俺の謝罪を突っぱねて鼻を鳴らした。
何もそこまで言わなくても、友達がフォローしてくれたけど、遠藤はそこまで言うことをしたじゃないか、俺を睨んで毒づいた。