きみとぼくの、失われた時間



あまり弾まない会話もそこそこに、秋本が揚げたてのフライドポテトと簡単な具沢山スープを持って戻って来る。
 
刺身とフライドポテト、具沢山スープ、それからスーパーで買ったであろうお惣菜を前に俺達は頂きます。遅めの夕飯を取り始めた。
 

アラサー組が酒を飲むか、いや車だし、と平坦に会話を交わしている。

お酒の会話ができるのもアラサー組ならでは。

幾ら同年代とはいえ15の俺とでは出来ない会話だ。
二人が成人を迎えているんだって改めて思い知らされる。


白飯を頬張ってマグロを箸で抓む俺はそれを醤油に浸しながら、聞き手に回った。大人の会話にはついていけそうになかったから。
 
その間にもアラサー組がしみじみとを会話を繰り広げる。
  

「なんか変な感じだな。15の坂本が此処にいるなんて。こんなにチビだったかなぁ、坂本って」

「ほんっと。私よりでかいって認識してたもんだから、今の坂本を見てると……、子供よねぇ」


「だなぁ」相槌を打つ遠藤はフライドポテトを抓んで口に放った。

うるせぇいやいアラサー組。どーせ俺はお前等から見たらガキだよ。ただの15の中坊だよ。


「でも。なんかすっげぇホッとした」


遠藤が意味深に気持ちを紡ぐ。

俺の反応をハナッから気にしていないのか、

「最後まで諦め悪かったの」

俺とお前だったな、遠藤は秋本に視線を投げて同調を求める。

「ええ」



秋本は小さく頷いた。

現在進行形で諦めが悪かったのは私達だけね、彼女は微苦笑を漏らした。

なんの話なのかイマイチ分からない俺は交互に二人の顔を見やった後、「兄貴と姉貴ができた気分だ」と会話に割り込んだ。


「俺の同級生だとは思えねぇや。お前等、まんま大人だし。変な感じだ」
 
「坂本は坂本で違和感を感じているんだな。そりゃそうか、15年後の未来にきているんだし。お前を見つけた時はビビッたぞ、まじで」
 
「遠藤、よく坂本を見つけられたわね。一応、帽子かぶらせてるから、よく顔を見ないと分からないと思うんだけど」
 

具沢山のスープから人参を匙で掬う秋本は、何気ない疑問を遠藤にぶつけた。俺はやばいと逃げ腰になる。

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