記憶の桜 -栄枯幻世-
「そうですけど…」
「本当に綺麗な子ね。あの人が褒めるだけあるわ」
あの人とは多分、芹沢さんの事だろう。
「何故、私を?」
「貴女、あの人の酌を断ったり、土方さんと喧嘩したりしたでしょ?それで、肝が据わってるって」
人を見下す事しかしない芹沢さんが、人を褒めるなんて意外だった。
「あの人は1番に此処の事を考えてる、本当は優しい人なのよ。ただ不器用なだけ…」
芹沢さんの事を話しているお梅さんを見ていると、本当にあの人を愛しているのだと感じさせられた。
じゃあ、私にとって愛しい人は誰なのかな…?