記憶の桜 -栄枯幻世-


「土方さん!これは一体、どういう事ですか!?」



開け放たれた襖の所には、芸妓姿の涼が立っていた。



男の姿でも綺麗な奴だと思ったが、女の姿になると、その美しさがはっきりと分かった。



涼は長い黒髪を芸妓のように結い、顔には白粉を薄く塗り、唇には赤い紅が引かれ、桜が描かれた藍色の着物を身につけていた。



綺麗としか言いようがなかった。



「芹沢さんの命令だ。先に言ったら、お前の場合、受けねぇだろ?」



「………」



何も言わねぇって事は図星か…。





< 107 / 412 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop