記憶の桜 -栄枯幻世-


「彼女は怪我をしたんですか?」




「いいや、怪我はしてねぇ。ただ、こいつの家族の仇とあった」




その言葉ですべてを察したのか、斎藤はこれ以上何も聞かず、水を汲みに部屋を出て行った。



俺は布団の横に座り、汗で額に張り付いている涼の髪を掻き分ける。




「せっかく、心を開いてくれたと思ったのに、逆戻りかよ…」



頼むから、変わらないでいてくれ…。





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